映画「キャンディマン」はただのモンスターホラーじゃない!
バーナード・ローズ監督による都市伝説をモチーフにしたホラー映画。しかし、ただキャーキャー騒いで逃げるだけの内容では無い所に意外性があり、好感を持てました。
6.5/10点★★★★★★☆
【キャンディマン Candyman 1992年 アメリカ】
スタッフ・キャスト
監督・脚本 バーナード・ローズ
ヘレン・ライル ヴァージニア・マドセン
キャンディマン トニー・トッド
あらすじ
都市伝説について研究している大学院生のヘレンは、黒人居住区に伝わる「キャンディマン」の伝説を調査していた。「キャンディマン」とは、鏡の前でその名前を5回唱えると現れ、名前を呼んだ者を右腕に取り付けた鉤爪で殺害するという、伝説の殺人鬼であった。
その伝説に懐疑的だったヘレンは、面白半分に鏡の前で「キャンディマン」の名前を5回唱えてしまう。それを境に、彼女の周囲で奇怪な殺人事件が次々と起きるようになる。
序盤はモンスターホラーらしく、主人公の情報集めからスタートし、やめときゃいいのに興味本位で怪物を呼んでしまい、そのせいで周囲でおかしな出来事が起こり始めるという導入になっています。
【ここが良かった!】
こういう映画は犯人に狙われるもギリギリ助かって…を繰り返すというお約束展開になってしまう事が多いのですが、キャンディマンが意外なのは殺人者が主人公ヘレンの周囲の人間を狙い始め、そして主人公が現場にいる為にキャンディマンの犯行が彼女の所為にされ、世間から犯罪者、精神異常者扱いをされていくという展開になっていく所です。
ただ殺される事への恐怖感だけでなく、自分の周辺環境からの疎外、孤立していく恐怖を描いた所が他のモンスターホラーと差別化されている点ではないでしょうか。
それとちょっと驚いたのが、ヘレンは大学院生の設定なんですが教授と結婚してることです。そしてそのことがわかるオープニングの講義室のシーンでその後の2人の関係に関するわっかりやすいフラグがあり、これがヘレンにだいぶダメージを与えることになります。
ところがそれに対しての解決として、オチでは観客にカタルシスが待っており、そこまた展開の割には意外にもスッキリした気分で終わりを迎えられるラストになっています。
まぁ勿論、ツッコミどころも無いわけではありません。キャンディマンの出現ルール、主人公への影響力や弱点なんかは結構曖昧だし、精神病院のセキュリティ甘すぎだし。その辺はご都合主義としてスルー出来ないとこの映画は楽しめないでしょうね。
それと・・・この映画には非常に思うところがあります。
それはキャンディマン自体がそんなに怖くない事なんですよね。トニー・トッド演じる黒人の殺人鬼は全体像が結構早い段階からハッキリ出てきちゃいます。それでいてイケメンで普通にカッコイイんですよ。不気味ではあるのですが、怖いかと言われるとちょっと首を傾げてしまいます。
あと武器が右手に直接くっついた鉤爪なんですが、接合部がちょいグロいけど、結構小さいんです。
コレなら避けられるんじゃないかな…と思ってしまうくらいなのが少し拍子抜けします。デッカい鉈とか視覚的に威圧感のある武器にした方がもっと怖かったんじゃなかろうか。
まぁそこがお茶目で良いところなのかもしれません。
とはいえ、ちょっと意外性のあるホラー映画を観てみたい、という方にはオススメ出来る佳作だと思います。