シネマ薬師座-必ず1つは褒める映画感想

古今東西、様々な映画感想を書いています。

映画「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」は姉妹のいる女性にオススメ!

女性映画監督グレタ・ガーウィグによるルイーザ・メイ・オルコットの自伝的小説「若草物語」の7度目の映像化作品。2020年代の今だからこそ作ったであろう女性の為の映画。

7/10点★★★★★★★

f:id:cando_movie:20210612000222j:image

【ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 LITTLE WOMEN 2019年 アメリカ】

スタッフ・キャスト

監督 グレタ・ガーウィグ

次女ジョー・マーチ シアーシャ・ローナン

長女メグ・マーチ エマ・ワトソン

四女エイミー・マーチ フローレンス・ピュー

三女エリザベス・マーチ(ベス) エリザ・スカンレン

母ミセス・マーチ ローラ・ダーン

セオドア・ローレンス(ローリー)  ティモシー・シャラメ

マーチ伯母さん メリル・ストリープ

あらすじ

南北戦争時代に力強く生きるマーチ家の4姉妹が織りなす物語を、作家志望の次女ジョーを主人公にみずみずしいタッチで描く。しっかり者の長女メグ、活発で信念を曲げない次女ジョー、内気で繊細な三女ベス、人懐っこく頑固な末っ子エイミー。女性が表現者として成功することが難しい時代に、ジョーは作家になる夢を一途に追い続けていた。性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと、思いを寄せる隣家の青年ローリーからのプロポーズにも応じず、自分が信じる道を突き進むジョーだったが……。

youtu.be

私は若草物語には全く触れずに来たので、とある四姉妹の話という事前知識のみで鑑賞しましたので原作への思い入れとかゼロです。まぁ私は元々原作と映像化作品は別物というスタンスですね。

さてこの映画、本筋を次女ジョーのエピソードに据えて、そこに姉妹3人を絡める形になっていました。ジョーのモデルが原作者のようです。物語内でも作家志望で「私は女1人で生きて行くわ!」と息巻いています。

ジョーにはしっかりしたお姉さんで演技の上手な美人の長女メグ、ピアノの才能があるが内気で病弱な三女ベス、絵が上手いが勝ち気でジョーとも衝突する四女エイミーという個性的な姉妹が周りを囲みます。

【ここが良かった!】

この作品は四姉妹が一緒に暮らしていた7年前とそれぞれの道に進んだ現在とを交互に見せるタイプの構成になっています。原作的には少女時代が1巻の若草物語、現在が2巻の続若草物語のエピソードのようですね。

興味深かったのは各時代を照らす光(照明)でした。

将来の希望に満ちて仲良く一つ屋根の下にいる7年前は全体的にオレンジなど暖色系の暖かい色使い、悩みの多く出ている現在は青い寒色系の色使いで普通に見ていて分かるくらいハッキリとした落差がついていました。この演出はとても良かったです。

ちなみに私はこの過去現在の交差、対比を取り入れてくれて正解だと思っています。正直この映画はものすごいエピソードがある訳ではないので、時系列順のままですと「ふーん」となるだけだったかもしれません。

「そうそう、大人になるのって大変なのよね…」という我々OTONAの哀愁を構成と演出で感じさせてくれたのは素晴らしいですね。タイトルのLITTLE WOMENという姉妹のお父さんが彼女達を呼ぶ言葉にもあるような、少女から大人への移り変わりを分かりやすく表現していました。暗かった現在も最後は家族が明るい陽だまりの中に集まるシーンで終わるところも綺麗でした。

少し気になったのは各エピソードのアッサリ感でしょうか。喧嘩などトラブルがちょいちょい起こるのですが解決が早いんですよね。

諍いがあっても大抵1つのエピソードで和解しちゃうんです。メインのジョーの作家活動にしても、辞めた宣言したはずがベスのエピソード1発で再奮起するんですよ。四姉妹分も話がありますからね、上映時間内にまとめる為には仕方ないのでしょうかね。まぁテンポ良いとも言えますが。

ところで何故、2020年代のこの現代に100年以上前の原作を再映画化したのでしょうか。それは勿論フェミニズムと多様性の叫ばれる時代だからでしょう。

原作の出版は1868年だそうで。この時代にジョーのように女性が手に職で働くのはまだまだ異質な時代だったのでしょうね。四姉妹を通して、比較して、女性の働く事や結婚や幸せについて表現しようとしたのだと思います。

前々世紀のお話ですが、21世紀の現代に相応しいテーマなのではないでしょうか。

まぁジョーの結婚については編集長の「最後は結婚してハッピーエンドじゃないと売れない」という言葉で何とか辻褄合わせてましたね。

という事でこの作品は今日を現役で生きている女性に向けた映画だと思います。特にあの姉妹特有のわちゃわちゃ感を見るに姉妹を持った女性だとより楽しめるのではないかと思います。

え?男はどうしたらいいのかって?

大丈夫、長女メグ役がエマ・ワトソンだから。

あぁ〜なんじゃこの美人はそんな甲斐性なさそうな家庭教師とか野獣とか末っ子魔法使いとじゃなくてオレとロマンスしてくれ〜って思ってれば、その間に映画終わってるから。